2013年11月1日金曜日

「憤れ!」~原発、秘密保護法・・反対する人たちに捧げる

この一週間、秘密保護法案について、あれこれ考えた。


多くのほかの知識人と同様に、あれこれ詳細に、いかにこの法案がおろかな内容で、今後の日本に悪弊をもたらすものかを示す、文章を何本か草稿したが、悩んだあげく、発表することをあきらめた(私以上にすばらしいものを発表されている方が多いため)。


代わりに、そうした日本の動きに反対し、心配する人たちに、本日はある本を紹介することで、私の気持ちを伝えることにした。



それがこの本だ。





ステファヌ・エセル著の「憤れ!」だ(邦題「怒れ!憤れ!」日経BP者)。




作者のエセル氏はご存知の方も多いと思うが、世界人権宣言の起草に携わった一人だ。




その経歴はきわめてユニークでここで特記しておきたい。



エセル氏は1917年、ドイツ系ユダヤ人で作家の父と画家の母の子としてベルリンで生れ、1924年に一家でパリに移住。


フランスに帰化後、1941年にロンドンの「自由フランス亡命政府」に加わり、1944年にドイツ占領下のパリに潜入して諜報活動に行った。


しかしナチスの秘密警察「ゲシュタポ」に密告されて囚われの身となり、パリが解放される寸前の8月8日、ドイツの強制収容所に移送されて絞首刑を判決を受ける。


その執行の前夜、収容所内で死んだ別の囚人に成りすまし、別の収容所に移り、脱走に成功。戦後は国連世界人権宣言の起草に携わり、その後もフランスの外交官として活躍した。


そして、この本「憤れ!」は、そんなエセル氏が93歳になった2010年秋に、若者に向けて書いたメッセージ本だ。


本というか、実際はわずか14ページの小冊子で、出版以来、フランスで200万部を超えるベストセラーになり、日本を含む世界の数十カ国で翻訳されている。


内容は、世界で不正義が横行しているなか、無関心でいる人々に対して、ナチに逮捕されて処刑される寸前に脱出した自らの若き日々を振り返りつつ、「世の不正義に目をつぶるな。行動を起こせ!」と訴えたものだ。


こうしたメッセージに感化された若者が、アメリカではあの「ウォール街を占領せよ」デモを起こし、債務問題で揺れるイタリアやスペインなど欧州での一大デモムーブメントとなった。





まさに、この思想が、原発問題や秘密保護法問題で揺れるいまの日本には本当に必要ではないだろうか?


だまっていてはいけない。見過ごしてはいけないのだ。・・・いまの日本では「怒らないこと」がなぜか推奨されているが・・・・


エヌス氏は本のハイライト部分として、特に「無関心は最悪の態度である」(第4章)を強くアピールしている。


「『私にできることは何もなく、何とかやっていける』というような考え方は、人間として根本的な特質である“憤り”を失わせるだろう。我々の抗議する力は、関わりを持つ自由と同様に、なくてならないものなのだ」



しかし、勘違いしないてでほしい。


エセル氏は、暴力で訴えろとはけしていってはいない。あくまで「非暴力」なのだ。


「暴力は希望に背を向けるものであることを理解せねばならない。希望に満ちていることと、非暴力への希望は、暴力より優先されねばならない。これは我々がたどることを学ばねばならない道程である」

そして、エセル氏は憤りへの呼びかけを次のように結んでいる。





「(ナチス崩壊後も)本当に脅威はまだ続いている。それゆえ、我々は平和的で毅然とした抵抗の呼びかけを続ける。


大量消費への誘惑、弱者の蔑視、文化の軽視、


歴史の健忘症<歴史的な過ちを繰り返すことを表すたとえ>、


容赦のない競争を強いる世界観を若者達に提供するマスメディアに対して」。




まさに、いまの日本の状況と同じだとは思わないか?

ぜひ、ご一読を!

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