2013年7月5日金曜日

原発被害と水俣病の関係

先日、水俣病患者の講演会の記事を目にした。


こちらの話も、福島原発事故後、何度も語られてきた話だが、今回はもう一度、「原発被害と水俣病の類似性」について、書いてみたい。







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(7月4日東京新聞)

前橋市の群馬大で2日、講演会「『水俣病』の経験から何を学ぶか」が開かれた。母親の胎内で水俣病になった「胎児性水俣病」と闘う熊本県水俣市の松永幸一郎さん(50)と永本賢二さん(53)が、病や差別と向き合ってきた経験を語った。


水俣病は1956(昭和31)年に公式確認され、59年には熊本大が原因物質を有機水銀であると発表したが、新日本窒素肥料(現在のチッソ)は68年まで工場排水を流し続けた。


63年に生まれた松永さんは「排水がもっと早く止まっていれば…。くやしい。チッソが憎い」と語った。5歳になっても歩けなかったため親元を離れて13年間施設で暮らした。いまは車いすを使っている。


永本さんも幼少のころは歩けず、8歳まで三輪車を車いす代わりにして移動していた。通学路でほかの子どもから「よかね、補償金もらえて。アイスクリーム買ってくれよ」といじめられた経験を振り返り、「本当に情けない。補償金じゃないよ、体返してくれよ」と声を振り絞った。

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お二人の口からでた言葉は、おそらく、原発事故の被災者に共通する気持ちだ。水俣病はいわば、公害被害者で、原発による放射能被害とは異なるものだ。


しかし、日本という風土を媒介にすると、きわめてよく似た状況が起こる。ここでは、私のようなにわかウォッチャーの言葉を使うよりも、アイリーン・未緒子さんの言葉を借りよう。




アイリーンさんは、戦後のアメリカ人写真家で、世界に水俣病の真実を伝えた故ユージン・スミスさんの妻で、水俣病患者の支援を続けるとともに、反原発運動を30年以上にもわたり続けてきた人物だ。


アイリーンさんはその経験を踏まえ、簡潔にふたつの事象をこう位置づけている。


「福島第1原発事故は水俣病と似ている。共通する責任逃れ、曖昧な情報流し、繰り返してほしくない被害者の対立。原発事故と水俣病との共通点は国の無策ではなく『不公平』の3文字だった」。





 ■水俣と福島に共通する10の手口

 
 1、誰も責任を取らない/縦割り組織を利用する

 2、被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む

 3、被害者同士を対立させる

 4、データを取らない/証拠を残さない

 5、ひたすら時間稼ぎをする

 6、被害を過小評価するような調査をする

 7、被害者を疲弊させ、あきらめさせる

 8、認定制度を作り、被害者数を絞り込む

 9、海外に情報を発信しない

10、御用学者を呼び、国際会議を開く 




アイリーンさんは、福島の人々の姿に、水俣で見た光景が重なるという。


「水俣の被害者もいくつもに分断され、傷つけ合わざるをえない状況に追い込まれました。傷は50年たった今も癒えていません」


それゆえに福島の人たちに伝えたいメッセージがある。



「逃げるのか逃げないのか。逃げられるのか逃げられないのか。街に、職場に、家族の中にすら、対立が生まれています。でも、考えて。そもそも被害者を分断したのは国と東電なのです。被害者の対立で得をするのは誰?」


アイリーンさんは以前、私が制作していたラジオ番組「たね蒔きジャーナル」にゲストとして出演してもらった際にこんなコメントをくれた。


「・・・(福島の事故で)海外では、自分たちの国(ドイツなど原発をもつ国々)はものすごく影響を受けたけれど、じゃぁ実際事故が起こった国(日本)では、どういう選択をするのか。原子力についてこれから本当に運転を再開してしまうのかどうか、っていうこと。そういう事を注目されていると思いますね」



アイリーンさんが予想したように、あいまいな判断のまま、現在は再稼動の方向に進んでいるが・・・。


そして、当時、番組に一緒に出ていた京大・原子炉実験所の小出裕章さんが、政治への無関心を装う姿を皮肉りながら・・・・


「・・・小出さんはもう政治に絶望したとかなんか言いながら、行動はそれを示してない。行動はやっぱり、希望を持ってるよう(に見える)。やっぱりどんどん言ってかなきゃ。物事変えてかなきゃっていうその勢いがまだ凄く見える・・・」



そして、「そのことが大事だ」と、アイリーンさんは私に強調してくれたことを覚えている。


現在も闘いを続ける彼女の姿勢にこそ、この国を救うヒントがありそうだ。



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